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啓示空間

2009年12月28日 21:02

今日紹介するのは、"縦置きで安定する本"です。

CIMG3526.jpg

イギリスのSF作家 Alastair Reynolds の著作、第一巻の名前をとって「啓示空間」シリーズと呼ばれています。

シリーズでは2500~2600年頃の人類史について描かれていますが、光速度以下で恒星間を渡っていること、それから長命化セラピーによって人間の寿命が100歳を大幅に上回っていることで、物語の中では四半世紀くらいはあっという間に進みます。



このシリーズの見所は、まずテクノロジーが発達していること。
20年前かそこらのSFでは、超光速航法とかワープ技術などがよく登場しました。
しかし、「啓示空間」では光速度の限界をあえてとりいれることで、そこに到達する人類のテクノロジーがどれほどのものかを示しています。
作中にでてくる恒星間宇宙船は「近光速船」と呼ばれていて、これは全長数kmの巨大な矢じりです。
そしてこの船や人類圏の機械はナノテクノロジーによって維持されていて、自己修復機能はもちろんのこと、
"近光速船の質量の1%を使って大気圏降下シャトルを作る"とか、
"エアロックの代わりに船内外を隔てている膜を通ると、膜が身体に張り付いて勝手に宇宙服になる"、
"船やビルのレイアウトが変化する"(例えば、部屋が中身そのままで別の場所に移動するとか)、
など、無限に応用できる科学の魔法です。
もちろん古典的な問題もちゃんと登場して、ナノテクを侵す「融合疫」によって制御不能になったり、ナノマシンの研究所がまるごと「Grey Goo」になったり、といったエピソードもあります。

その中でも特に驚いた発想が、ナノマシンによる自己修復のログが残るというものでした。
なんで? と言うなかれ。私はこの本を読むまで、ナノマシンは機械より生物に近いものだと思っていたのです。
つまり、イモリは足を切断してもまた生えてきますが、足を余分にもう一本生やす、という変更を加えるには受精卵の状態から再設計しないといけない。
ナノマシンも同じく、ソフトウェアというよりハードウェアよりなものだと考えていました。
Reynolds はそうではなく、ソフトウェアアップデートのように随時、柔軟に変更できるものだと言っているわけです。
ハードウェアの変更能力を持ったソフトウェアといったところでしょうか。



それから、人類の派閥もまた魅力のひとつです。
近光速船を駆り恒星間の深淵を渡る「ウルトラ属」、
脳内の微小機械が民意を集計し政治に反映させる「無政府民主主義者」、
同じく微小機械によって人間の精神・思考を拡張した「連接脳派」など・・
地球はもはや白い氷球と成り果てて、その文化のなごりは近光速船の開発以前の恒星間移住計画のいくつかに名前を残しているに過ぎません。
人類圏のすべてを統括する存在はなく、自分の所属しない派閥は謎に包まれていたり、第一星系(旧太陽系)から遠い植民惑星では孤立した文化を形作ったりしていて、それも物語の味付けに一役買っています。

おおざっぱに言えば、第一作「啓示空間」はウルトラ属、二作目「カズムシティ」は(ry、三作目「量子真空」は連接脳派の話です。
そうそう、「量子真空」では、なぜ人類以外の知的異星人が存在しないのか、光速度以上の航法ができないのはなぜなのかという話が解説されています。

四巻目「Absolution Gap」(写真、真ん中)は・・・まだ和訳されてないので洋書で読んでいるのですが・・ぶたが出てくるところまでは読みました。

____0____bigger.pngぶたももちろん出てきます。「ハイパー豚」と呼ばれて、人間と豚の遺伝子のハイブリットです。
もともとは免疫による拒絶反応を抑制するために患者の遺伝子マーカーを埋込んだ豚を製造していて、そのうち誰かが一線を越えて知能を持つに至ったというものです。

こういう、地球時代の問題の産物が真実味を加えていていいですね。




啓示空間」シリーズは第五作まで出ていて、和訳のペースからするとそろそろ四巻目が訳される頃です。
さしあたっての目標は、訳される前に洋書で読みきることです。
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