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AVATAR

2009年12月31日 19:50

3Dで繰り広げられるCGが圧巻でした。
字幕も煩くなかったし。
ただ、制作者が見せようとしている場所と、自分が見たい場所がちがうと、そこに焦点を合わせようとがんばるのか目が疲れてしまいました。


作品自体は、現代SFを踏襲していて満足できる出来でした。
舞台は、どこぞのガスジャイアントの衛星:パンドラ。
夜空に浮かぶガス惑星がとても幻想的です。

生態系も同じく、深海の生物を思わせます。
三対の足が脊椎動物の基本形となっていて・・・そこから進化した巨人だと?
ナヴィ族の中間の一対の足はやはり、退化して横隔膜の補助をしているのでしょうか。


そして、パターンジャグラーを思わせる、生化学ネットワークも登場しました。
物語の中核ですね。
ジャグラーもそもそもはソラリスの海が元ネタらしいのですが、それも同じようなものなのかな。

SFマガジン2月号にキャメロン監督のインタビューが載っていましたが、学者さんを集めて相当緻密に創ってあるようです。
SFのフィクションの部分と、サイエンスの部分がうまく組み合わされています。
AVATARのゲームも出るようですが、Oblivionのように探険する要素があるものならやってみたいですね。
これだけディテールの細かい世界観はとても魅力的です。
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啓示空間

2009年12月28日 21:02

今日紹介するのは、"縦置きで安定する本"です。

CIMG3526.jpg

イギリスのSF作家 Alastair Reynolds の著作、第一巻の名前をとって「啓示空間」シリーズと呼ばれています。

シリーズでは2500~2600年頃の人類史について描かれていますが、光速度以下で恒星間を渡っていること、それから長命化セラピーによって人間の寿命が100歳を大幅に上回っていることで、物語の中では四半世紀くらいはあっという間に進みます。



このシリーズの見所は、まずテクノロジーが発達していること。
20年前かそこらのSFでは、超光速航法とかワープ技術などがよく登場しました。
しかし、「啓示空間」では光速度の限界をあえてとりいれることで、そこに到達する人類のテクノロジーがどれほどのものかを示しています。
作中にでてくる恒星間宇宙船は「近光速船」と呼ばれていて、これは全長数kmの巨大な矢じりです。
そしてこの船や人類圏の機械はナノテクノロジーによって維持されていて、自己修復機能はもちろんのこと、
"近光速船の質量の1%を使って大気圏降下シャトルを作る"とか、
"エアロックの代わりに船内外を隔てている膜を通ると、膜が身体に張り付いて勝手に宇宙服になる"、
"船やビルのレイアウトが変化する"(例えば、部屋が中身そのままで別の場所に移動するとか)、
など、無限に応用できる科学の魔法です。
もちろん古典的な問題もちゃんと登場して、ナノテクを侵す「融合疫」によって制御不能になったり、ナノマシンの研究所がまるごと「Grey Goo」になったり、といったエピソードもあります。

その中でも特に驚いた発想が、ナノマシンによる自己修復のログが残るというものでした。
なんで? と言うなかれ。私はこの本を読むまで、ナノマシンは機械より生物に近いものだと思っていたのです。
つまり、イモリは足を切断してもまた生えてきますが、足を余分にもう一本生やす、という変更を加えるには受精卵の状態から再設計しないといけない。
ナノマシンも同じく、ソフトウェアというよりハードウェアよりなものだと考えていました。
Reynolds はそうではなく、ソフトウェアアップデートのように随時、柔軟に変更できるものだと言っているわけです。
ハードウェアの変更能力を持ったソフトウェアといったところでしょうか。



それから、人類の派閥もまた魅力のひとつです。
近光速船を駆り恒星間の深淵を渡る「ウルトラ属」、
脳内の微小機械が民意を集計し政治に反映させる「無政府民主主義者」、
同じく微小機械によって人間の精神・思考を拡張した「連接脳派」など・・
地球はもはや白い氷球と成り果てて、その文化のなごりは近光速船の開発以前の恒星間移住計画のいくつかに名前を残しているに過ぎません。
人類圏のすべてを統括する存在はなく、自分の所属しない派閥は謎に包まれていたり、第一星系(旧太陽系)から遠い植民惑星では孤立した文化を形作ったりしていて、それも物語の味付けに一役買っています。

おおざっぱに言えば、第一作「啓示空間」はウルトラ属、二作目「カズムシティ」は(ry、三作目「量子真空」は連接脳派の話です。
そうそう、「量子真空」では、なぜ人類以外の知的異星人が存在しないのか、光速度以上の航法ができないのはなぜなのかという話が解説されています。

四巻目「Absolution Gap」(写真、真ん中)は・・・まだ和訳されてないので洋書で読んでいるのですが・・ぶたが出てくるところまでは読みました。

____0____bigger.pngぶたももちろん出てきます。「ハイパー豚」と呼ばれて、人間と豚の遺伝子のハイブリットです。
もともとは免疫による拒絶反応を抑制するために患者の遺伝子マーカーを埋込んだ豚を製造していて、そのうち誰かが一線を越えて知能を持つに至ったというものです。

こういう、地球時代の問題の産物が真実味を加えていていいですね。




啓示空間」シリーズは第五作まで出ていて、和訳のペースからするとそろそろ四巻目が訳される頃です。
さしあたっての目標は、訳される前に洋書で読みきることです。

天冥の標 を 読み終えた!

2009年09月20日 20:39

2010年代のSFはここから始まる!


CIMG3067.jpg

まさに、それを予感させる作品でした。
十巻計画の超長編・・・だそうです → 小川遊水池@blog


かなり伏線が張られていて、続編が楽しみでなりません。
植民地は結局"何"なのか?
人工の構造物なのか?惑星上にあるのか?どこにあるのか?

それから地下の巨大空間、NERV本部なんかもそうですが、ロマンですねぇ。



CIMG3073.jpg

疫病はお話のきっかけではなく、物語の核たるもののようです。
来春が楽しみです。

神林 その2

2009年09月15日 01:46

神林つながりでこんな本を。

CIMG3039.jpg 


twitter-erとの話題に出て、読み直していたのですが、
もし、宇宙のどこかに、人間とは別の情報処理を行う知的生命体がいるならば、人間をいい加減な知覚情報処理の仕組みをもって、実際とは異なる世界像を構築している生き物とみるかもしれない』(大人の時間はなぜ短いのか (集英社新書)p.46)
のくだりで、ロンバート大佐の
「リアル世界に一歩近づいた視点から見る地球が、フェアリイ星なんだよ、諸君」』(アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風p.264)
というセリフを思い出しました。


リアル世界での物質の形態は、人間の五感で感じられる側面しか意識に上らなくて、しかも、途中で人間の生存に有利になるような評価が付く(たとえば、糖は"甘い"とか)ので、本当の世界を見ているわけではないんです。
途中で再構築されるんですね。
その過程で、客観的に観測される現実とは異なるものになる、それが錯覚。

雪風や戦略コンピュータなどの機械知能にも無意識の部分(下位の機械が情報処理した結果を受け取る)はあるでしょうが、それはちゃんと同期がとられていて、現実と異なる解釈はバグとして排除される、そんなものだと思います。
つまり、神林が書いているように、彼らは人間よりもリアル世界に近いものを見ている。
それで考えたのですが、機械は似顔絵を本人と同一のものとして認識できないのではないかな、と。
つまり、


これと、
CIMG2632.jpg


これ。
CIMG3040.jpg

ブログのために絵を描いてしまった。ヒマだなあ。平和だなあ。


・・それで、人間の認識する世界は"好き"か"嫌い"かの2つ、プラス、"どっちでもない"があります。
別に"好きでも嫌いでもないもの"があっても、それは人間の生存に不利になりませんから。
しかし彼らは戦闘機械ですから、世界は""と"味方"しかありません。
"敵でも味方でもない"という存在を認めることは、自己の保存に不利に働きます。
"確実に味方と認識できるもの"と、"それ以外 = 敵"となるはずです。
なので、多分彼らは、上下の画像を同一と認めない、と考えられます。

これはつまり、彼らは物語にのめり込んだりとか、ちゃんばら(棒を剣に見立てている)をしたりとかができないと示しているのではないでしょうか。
雪風が自軍基地を攻撃して、味方機に敵認識されたときも、戦術コンピュータは「模擬戦闘を開始」とか言っていたし。

だからどう、ということはないんですが、そんな知能が近くにいたら、お友達になりたい。



急募:ワンチップ人工知能層状LSIもしくはエイリアン !

神林長平デビュー30周年

2009年09月13日 01:03

CIMG2930.jpg

破魔の矢はいかにして放たれたか? 
神林ほど、インタビューを読んで面白い作家もいないでしょう。

神林理論、神林哲学と(勝手に)呼んでいる---SFMには「神林回路」とあった---が、例えば「死して咲く花、実のある夢」にでてくる、死者と生者がコミュニケーションできないのは熱力学の第2法則に反するからだ、とか。
機械たちの時間」や「アンブロークンアロー」で書かれている、機械意識が認識する時間概念とか。
そんな考えがどこから生まれるのか?
その答えが書かれています。


新進気鋭の新人作家も良いけれど、昔の作品は今風の流行に乗れないことがあるけれど、神林はいくら年月が経っても通用するものを書いてくれます。




そして、Maxon Japan から届いた何か。
CIMG2928.jpg



うーん、他人にモノの 良さ を伝えるってけっこう難しいです。
マイコンだとスペックがあるから楽なんですけどね・・・

伊藤計劃

2009年06月15日 17:48

凄いものを書く人です。
新作が楽しみ・・・などと浮かれていたら、癌で死去とのこと。
今年の3月。
自分が計劃を知ったのはSFマガジン2月号のインタビュー記事でした。
帽子を深く被っていたのは薬の副作用か。

幸いにもブログはまだ残っていたので、消滅することのないようにローカルに保存。
単行本化されなかった短編と一緒に読んでいます。
人が死んでも残るものってあるんですね。
初めて実感できた気がします。

いまは、遺されたものを読み解いて人物像を想像するしかないけれど、もっと記録の解像度が上がったら、その人のシミュレーションができるんじゃないかな。
神林の作品に出てくるワーカムとか、「啓示空間」のベータレベル・シミュレーションみたいな。


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